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今日は遅番だったので、のんびりコーヒーでも嗜もうと決めた.

いつものSTARBUCKSで、タンブラーではなくマグに落としてもらうようお願いする.

花粉でぐずぐずな鼻でコーヒーの薫りを満喫した気になり、 お気に入りの本を読む. このちょっぴりハイソな気分に浸れる時間の為に、 我が財閥は日々の生活費を切り詰めコーヒー代を捻出しているのだ.

奥まった席に陣取りさあ読むぞと本を広げようとした矢先、 横のテーブルに賑やかな声と共に袴姿のうら若き乙女達が馳せ参じたのでびっくりしました.

ああ、今日は卒業式か.いいですねえ. などと微笑ましく横目で眺めていたら、 徐に乙女達にカメラを向けられてびびる.

こんな人畜無害な平均的一般男性を被写体にして何が面白いのか. 警察に通報しようとしても横目で眺めていただけで、 未だ何もしでかしてないぞ.たぶん.

などと要らぬ不安に産まれたばかりの小鹿のようにぷるぷるしていたのですが、 よくよく見てみると彼女達が写そうとしているのは、 自称平均的一般的男性とカメラの間に位置するスターバックスのカップ. そして、そこにはこんな文字が.

「御卒業おめでとうございます」

――ああ、なるほど.

マジック一筆で、普段の珈琲が人生節目の日の朝を祝う素敵な一杯となる. こうした細やかな心遣いが、この店を愛して止まない理由のひとつなのです. 例え自分のコーヒーにホイップが忘れられてたとしても、 そんな些細な事はペーパータオルと共にゴミ箱にうっちゃっておけばよいのです.

職種は違えど同じ人に接する仕事を持つ身として、 この姿勢は見習いたいものですね. 見習い過ぎて仕入伝票に相手への愛をしたため どん引きされた阿呆が知人に居ますが、 何事も遣り過ぎは逆効果. 心遣いもコーヒーの砂糖も加減が重要ですね.