昨年、制限時間ぎりぎりながらも辛くも完走を果たしたAACR 2016からはや一年. 幸い最初の難関であるエントリ峠も無事超え、今年も参加できる事と相成りました.
天候は前日から抜けるような快晴、 昨年と同じlugさん・rasepandaさんと、今年はサイクルキャリアを取り付けた豚鼻のマイカーで長野へ向かいます.
さて突然ですが再びAACRに参加するに当たり、今年は完走とは別にもうひとつ目標がありました.
それは、「前日に小熊山に登る」こと.
翌日に160kmを控えた状態でヒルクラに挑もうなど貧脚らしからぬ烏滸がましさですが、 なかなか長野まで足を運ぶ機会がない事を考えれば、天候にも恵まれたこの日はまさに好機.
木崎湖キャンプ場まで車で行けばそこから小熊山を含めて木崎湖をぐるっと周遊しても全長24km弱、 一時間半もあれば走破できるのではないでしょうか. 15時にスタートして16時半頃再び木崎湖へ、その後は近くの温泉施設で汗を流し、宿には19時頃に…
そう考えていた私は、手の施しようのない阿呆であった.
ローディの憧れ、小熊山
小熊山とは木崎湖の西岸に裾野を落とす里山であり、山頂にあるパラグライダー場から眺める木崎湖の全景は圧巻の一言. ヒルクラに興味を持ったローディなら、 木崎湖をバックにロードバイクを高々と掲げる写真を見た事がある人も多いのではないでしょうか. 私も例に漏れずその写真を目にし、いつかは自分で同じ画を撮ってみたいと憧れたローディのひとりです.
さてそんなわけで梓水苑でAACRの前日受付を済ませたら、その足で一路木崎湖へ.
なお小熊山は、山頂付近から木崎湖側登山口まで続く小熊黒沢林道が一方通行(重要)のため、 ロードで登頂する場合は必ず北側からスキー場を経由して登る必要があります.
木崎湖からスキー場の手前までは前年のAACRで走ったコースでもあり、 懐かしい気持ちで湖畔を眺めながらゆるゆると小熊山を目指します.
ただコースを外れた先は未知の世界、事前に得た情報としては
- パラグライダー場から見る景色が絶景
- 南鎌倉高校 女子自転車部で小学生が登ってた
- ろんぐらいだぁす!の三宅先生が初ヒルクラ直後にクリアしてた
といった程度.
詳しい斜度なども調べず、せいぜいAACR終盤の登り位だろうと高を括っていました.
その頃、我々は忘れていたんだ.
長野は日本アルプス擁する山々の魔境だという事を.
AACRはその魔物達を掻い潜り奇跡的なまでに平坦を繋げたコースなだけで、
一たび道を外れれば、坂は容赦なく牙を剥くという事を.
これが長野の本気なんだよ
みなかまで小学生が登ってたんですよね…
登ってましたね…
もしかして我々違う山に登ってたりしませんよね…
ルートもあってそうですね…
…
じゃあなんだこれは
ゆるふわ気分で小熊山に挑んだ我々の前に現れたのは、そんな甘い幻想を粉々に打ち砕く壁のような坂. AACRのコースを外れた途端garminの示す斜度はあっという間に二桁に、しかも一向に緩む気配がありません.
都内では最凶の一角と恐れられる「和田峠」と大して変わらない難易度に体力ゲージは一気に黄信号、 加えて自分は前述のとおり1時間半もあれば帰ってこられると高を括って ライトはおろかドリンクボトルすら車においてくる始末. このままだとパラグライダー場で自転車を掲げる前に、道端で蹲りながら救助の白旗を掲げる事になりかねません.
お互いペースを合わせる余裕も皆無のため、中盤に差し掛かると皆ばらばらに. タイヤのスリックが地面を噛む音と自分の青色吐息だけが聴こえる中、 息も絶え絶え進んで行くと急に道が開けて目の前に大きな建物が…どうやら、鹿島槍スキー場に到着したようです.
※Google Mapより引用
ここがパラグライダー場に向かう道と黒沢方面に抜ける道の三叉路になっているのでメンバーが揃うまで休憩. 皆と足並みを揃えて走り出すと、 先程とはうってかわってなだらかな斜度と遠方にアルプスの山々が連なる美しい展望が続きます.
一部路面が荒れている箇所もありましたがスキー場から先は概ね快適、 林道を抜け、途中長い下りに差し掛かり、 あれもしかして道間違えたかなと不安に駆られながら幾つか目の明るいカーブを曲がると急に視界が開け…
パラグライダー場到着!
遮るものが何もないので木崎湖が文字通り一望できます.
あれが麻郁の住んでいた家ですね、とrasepanda先生の有難いおねツイ講義をBGMにしばし絶景を堪能.
このままじっくり過ごしたいのは山々ですが、この時点で予定時刻を大幅にオーバー. 陽も陰ってきたし宿のチェックインもある、という事で泣く泣く帰路へ.
下りは楽ちん…と思いきや、斜度がきつく視界が悪い上、ところどころ砂も浮いてたりと全く気が抜けません.
因みにどれ位きついかと言うと、道中でカーボンホイールの人が降車して歩いてる位きつい.
*カーボンホイールは熱が逃げにくいため、長時間ブレーキをかけると危険
道中では猿に蛇、果てには狸と流石長野の山と思わせる野生動物達と遭遇しつつ、 長い坂を降り切るとそこは木崎湖キャンプ場の真裏、なるほどここに出てくるのか.
折角なので木崎湖を離れる前にみずほ桟橋からパラグライダー場を望む.
思いの外高い所にあってそりゃきついわけだと改めて納得し、
またあそこまで行って帰ってきたんだなという妙な達成感がありました.
そう言えばヒルクラスポットは数有れど、目的地が麓から見られる場所って意外に貴重かもしれません.
さてそんな小熊山ですが流石は魔境の住人、軽い気持ちで挑むと思わぬ苦戦を強いられるレベルでした. とは言え途中押してでもスキー場まで行けばそこから先はぐっと楽になるし、 何よりローディ憧れの展望は噂に違わぬ素晴らしいご褒美となるので、 最初の激坂で諦めてしまわず挑戦してみると良いかもしれません.
宿も二度目なら
宿に戻った時点で20時を回っていたので翌日の朝食をコンビニで仕入れ、 ひとっ風呂浴びてお馴染みからあげセンターで夕ご飯.
夕飯やコンビニを探して駅前をぐるぐるしたり緊張でうまく寝付けなかったりした前回と比べ、二度目となれば色々慣れたもの. 小熊山の疲労もあり、早々に前夜の帳は下りていったのでした.
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