ネットを使った図書館の新サービス:日経パソコン No.583
音楽CDの代わりに、インターネットを通じた音楽配信サービスの「ID」を貸し出す公共図書館が増えている。 利用者はIDとパスワードを受け取り、自宅のパソコンから自由に楽しめる。
具体的には、ナクソス・ジャパンが運営する 「ナクソス・ミュージック・ライブラリー(NML)」の図書館向けサービスを使う。 同社は2005年11月から、個人向けに月額1980円の音楽配信サービスを提供中。 クラシックを中心に民俗音楽やジャズなど、約50万曲(2009年8月時点)をストリーミングで聴くことができる。
(中略)
「図書館の視聴覚資料として考えたとき、民間のレンタルCD店とは一線を画すサービスを提供すべき。 その意味でNMLは、民俗音楽など手に入りにくい音楽が含まれるなど質が高い」 (千代田区立千代田図書館サービスプロデューサー梶川悦子氏)と、 資料的価値は評価されている。
内容は今更な感があるものの、 図書館関連の記事が日経パソコンのヘッドニュースに載った事を評価したい.
前にもちょろっと触れたけれど NML自体は動作はそこそこ音質うーん、といった感じ. ただ、図書館総合展で聴いたときはぼろPC meets 平均程度のヘッドホンだったので、きちんとした環境で聴くとまた違うのかも.
問題はやっぱり利用者層とデジタルデバイド. 大学図書館あたりでやると凄くうける気がするんですが、 我が図書館の様に今尚カセットテープが現役稼動中、 なんて所は果たして何割の利用者がこの恩恵に授かるのか甚だ疑問です. テープで事足りる人にとっては無用の長物だし、 作業用BGMとして気分でストリーミングなんて人はそれこそようつべやニコ動流すでしょうし.
また、デジタルを使える人ばっかりがどんどん便利になってくシステムを末端の図書館が推奨する、ってのも何か違う気がする. Macで利用できないweb図書館とかね. これを言い出すとデータベースやOPACとかもそうなんですが、 こちらは一応その橋渡し役としての司書が居て、結果利用者に欲しい情報が届くから良いんです. じゃあ図書館で講習やってみんなでストリーミングで音楽聴こうぜー、ってのも何かちが(ry
ぐだぐだ書いてきましたが、要は地方図書館員のいち意見として、 市立クラスの図書館ではこの手の電子媒体の導入にはあまり積極的にならないでいいんじゃないかな、ってことです. 特に件のNMLなんかは、折角個人用が抑えた価格で提供されてることですしね.
参考文献
- 田村規雄 「ネットを使った図書館の新サービス」
- 『日経パソコン』No.583(2009年8月10日) p.11 日経BP社